働き方改革 在宅勤務備忘録 その3 ~チャット編

POINT
  • コミュニケーションチャット編
  • チャットの構文
  • チャットは失礼?
  • 正しく思いを伝えるために

前回は在宅勤務に当たり必要なツールについて、そしてそれを社内に浸透させる方法について備忘録を残しました。弊社の場合、今回は聊かぶっつけ本番、無理矢理なところもありましたが、実際に導入するならば似たように、上からの働きかけ、一種の強制が必要だろうという内容でした。

コミュニケーション チャット編

さて、そうして無事に社内に定着したTeamsですが、そうなると便利なことだらけです。在宅勤務が始まってから一か月、「案外仕事できるじゃん!」というのが正直な感想で、そのほとんどはTeamsのおかげと言っても良いでしょう。テレビ会議の精度も思ったほど悪くないですし、資料を画面共有できるのも評価は高いです。もちろんお客様に「会えない」のは大変ですが、お客様とテレビ会議することはできます。ファイル共有だってスムーズですし、リアルタイムで行える同時編集はスピード感が求められる時の強力な味方です。プロジェクトごとにチームを作ったり、またそのチームにToDoリストを作成したり。スケジュールを作成してメールに飛ばしたり、会議の出欠を取ったり…使い方次第で何でもできます。恐らく、オフィスに戻ってからもこのTeamsは活躍してくれることでしょう。

チャットの構文

ただそれでも、全くうまくいっているというわけではありません。ここからはより複雑な問題、コミュニケーションツールの正しい使い方のお話です。Teamsではチャット機能で直接社内の人間に連絡を取ることができます。LINEやSkypeと同じような機能だと思ってください。あなたが発言をしたら右にフキダシがシュポっとでて、相手が発言すれば左にシュポっと…便利ですよね?しかし問題はその使い方なのです。このようなチャット機能は、とてもフランクで、カジュアルな印象を与えます。特に日本はメール文化が主流で、ビジネスではメールを基にした文化/構文が発達してきました。それは社内同士であっても同じこと。いきなりビジネスコミュニケーションの場をチャットに移せというのには戸惑いがあっても不思議ではありません。弊社の社員にも、きっと書き方に困った人はいると思います。最初に「〇〇さん お疲れ様です。デザイン部の…」とつけるのか、「?」や「!」といった符号を使っていいのか、最後は「よろしくお願いします。」で〆るのか。そして、それらを省略することは、すなわちメールの構文を使わないことは、相手への敬意を欠くことになるのではないか。…あなたは、どう思いますか?これらは確かに大切な気配りではありますが、ここでは間違いであると言わざるを得ません。なぜならメールにはメールの構文があるように、チャットにはチャットの構文があるからです。

そもそもチャットの利点とは、メールよりも早く、簡単に、コミュニケーションをとれること。送ればゼロタイムで相手に届きます、受信という概念がありません。届いたチャットは通知に表示され、画面の端に目をやるだけで内容が伝わります。スピードと簡略、そこにメリットがあるのです。そこでメールの構文、書き出しを引用すればどうでしょう、せっかくのスピード感が失われてしまいます。通知も意味のない書き出しで埋まってしまい、肝心の中身が一目で分かりません。ここは何度も改行して長文を送る場所ではありません。一行に言いたいことを収める、チャットとはまさにchat、雑談、おしゃべりの意味、またそういう機能なのです。

TeamsのチャットはEnterキーが送信に当てられており、改行はShift+Enterになっています。ふつう逆じゃない?と私も最初は思ったものです。まだ書いてる途中なのに送っちゃったじゃん!と。ですが今は「チャットはそもそも長文を送るものではない」と気が付くことで、このキー配置の意味も理解できました。もっと短文を何度も送りつけ合うものであり、開発者もそう使ってほしいし、私たちもそう使うべきだと。

チャットは失礼?

私がこの場で改めてお伝えしたいのは、「チャットで軽い口調になっているからと言って、それは敬意を示していないわけではない」ということです。チャットにはチャットの構文があり、メールに戻ればまたメールの構文を使う、それだけのこと。どうかチャットで気軽な言葉が飛んで来たとしても、あいつはマナーがなってないだとか、公私混同しているだとか、そういう風には思わないでほしいのです。

こう述べるのには別の意味もあります。先ほどチャットはメールよりもフランクでカジュアルに感じられるとお話ししました。そうであるが故に、チャットはメールよりも社交辞令を感じにくくなっています。チャットのもつ気軽さは、メールよりも相手を身近に感じ、数々の言葉がストレートに、本当に口をついて出たように受け取れるようになるのです。であるからこそ、時としてメールのような、厳かで社交辞令にまみれた構文は誤解を招きかねません。「大変申し訳ございません」の重みが違うということです。にわかに信じがたいことかもしれませんが、部下からのチャットはいたずらにへりくだったように、また上司からのチャットは不用意に高圧的に、相手に思わせることがあります。

これは相手の顔が見えないということも関係しているでしょう。人は文章に、自分の読みたい、感じたいように感情を与えてしまいます。LINEやCメール、メッセージで似たような経験をしたことはありませんか?ちょっとした文章の読み違いでトラブルが起きたことは?日本語は極めてあいまいで、読み方次第で全く違う意味に受け取ることができてしまいます。Teamsはビジネスツールですから、余計に読み込んでしまうというもの。本来、文章だけでいかに相手に感情を伝えられるか、と開発されたメール構文を、考えなしにチャットで用いれば、それは発言者の意図とは異なる、過剰な伝わり方をする恐れがあるのです。これは思えばインターネットを使ったコミュニケーションの「いろは」、人によっては学校でも習ったはずです。それだけ文章で気持ちを伝えるというのは難しいことなのです。

実際に私も、初めのころはメールのような構文でチャットを送っていましたが、「なんでこんなに卑屈になってるんだろう?」と思うことばかりでした。逆に上司もメール構文で返してきましたが、それを読んで「あれ、怒られてるのかな?」とも。それは送った上司側も同じで、後ほど「どうしても怒ってるような文章になっちゃうんだよね」とお話をしてくださりました。送った本人さえそう思うのです、送られた側は言うまでもありません。こういった取るに足らないことで、ただでさえ顔を合わせない職場の人間関係が余計にギクシャクするのは、誰にとってもプラスにならないことです。

正しく思いを伝えるために

ではどうすればいいのでしょうか?どうすれば相手に正しく感情を伝えられる?どうすれば高圧的な態度を、卑屈な態度を、薄めることができるのでしょうか?…顔文字?お疲れ様です^^) _旦~~…まあ、顔文字によってあなたの世代が露呈してしまうことを除けば、それもよいでしょう。ビジネスメールではありえないことですが、ここはチャットです。(笑)なんかを入れるのもありでしょうね。ですが、間違っても「w」なんか使わないでくださいよ。上司は友達ではありませんし、部下は息子ではありません。適切な距離感は常にとるべきです。

私はもっと簡単なところでいいと思います。例えば部下への敬語をやめてみる。これでよろしいですか?と言われれば「オッケーです」と返すとか、あるいは「いーよ」と返すとか。「了解」を「りょーかい」と言ってみるとか。この「ー」がポイントで、程よく砕けた感じを与えて…まだ抵抗がありますか?ならば「!」を使うのはいかがでしょう。「いいね!」とか「ありがとう!」とか。何はともあれ、あなたが恐怖政治を布きたいのでなければ、必要以上の敬語は無用と心得ましょう。普段の話し言葉を使ってみるのです。Teamsには簡単なエモーション機能もついています。サムズアップやハートといったアイコンを使えば、さっとした返事も兼ねられて、その上相手にシンプルな好意を伝えられます。

逆に部下から上司に対してはどうでしょうか?ついつい事あるごとに「申し訳ございません」「お手数おかけします」…なんて使いがちですが、そうするうちに私は気が滅入ってしまいました。メールだといけしゃあしゃあとしているのに…それからというもの、私はとにかく淡泊な返事に終始することにしています。二つ返事で、「はい」「了解です」「取り掛かります」…あとは相手の接し方に合わせれば良いでしょう。

そしてこれは上司にも部下にも当てはまることですが、ちょっとおかしいな?と思ったらすぐに電話をすることです。声色というものは私たちが思っている以上に、相手に表情を伝えます。ビデオ通話ならなお良し、とにかく相手に声を聴かせ、相手の声を聴きましょう。誰だって気持ちよく仕事はしたいもの、いらない心労は避けたいですよね。

結局、ツールとは所詮ツールであるということ。在宅勤務の課題の一つはコミュニケーションにあり…それは次の章でお話しするつもりですが…文章のみに情報を絞られた状態ではいかようにでもすれ違いが生じるということは肝に銘じておきましょう。これはお互いが善意であっても起こりうるのです。定期的にその修正はしてあげなくてはなりません。

このように、使い方に慎重はあれど、デジタルの力によって私たちは場所を超えたコミュニケーションを得ました。しかしそれは果たして隣り合って行うアナログなコミュニケーションに完全に代わるものなのでしょうか?次回はコミュニケーションそのものに関する備忘録を残すとしましょう。

WPD/S・O