働き方改革 オフィスの虫めがね・ワークエンゲージメント編

POINT
  • 139カ国中132位!日本企業のワークエンゲージメントは極端に低い
  • 快適なオフィス環境は、ワークエンゲージメントを向上させる
  • ワークエンゲージメント対応オフィスの事例を紹介

139カ国中132位!日本企業のワークエンゲージメントは極端に低い

ここ数年、人事・総務系の方を中心に広まっている「ワークエンゲージメント」という考え方をご存じでしょうか。これは仕事に対するポジティブで充実した心理状態を指し、一言でいえば仕事の“やる気”のことです。「このプロジェクトを成功させる」という一時的なものというより、仕事全体に対する継続的な情熱を意味しています。
ワークエンゲージメントは「活力」「熱意」「没頭」の3要因から構成されており、下の図のようにそれぞれが関連し合って、仕事へのやる気が生まれると考えています。

↑図出典 島津明人「ワークエンゲージメントに注目した自助と互助」より弊社作成

ワークエンゲージメントは、仕事における「バーンアウト(燃え尽き)」と対になる概念です。仕事による過度なストレス等から心身に不調をきたし、最終的には出社できなくなってしまうなど、文字通り燃え尽きてしまう社員が少なからずいることはご存じでしょう。上司のサポートや自己肯定などによってストレスを軽減できれば、バーンアウトを回避でき、ワークエンゲージメントを高めることができます。社員一人ひとりのワークエンゲージメントを向上させ、幸福度(Well-being)を高めることで、企業と社員の双方に大きなメリットが生まれるのです。

ワークエンゲージメントという概念は2000年頃から海外で取り上げられ、日本では2010年頃に、従業員のメンタルヘルスに着目し始めた流れから広まってきました。この頃の日本はメンタルヘルスや生産性向上、離職率といったワードがようやく定着し、現在の働き方改革へとつながっているわけです。
しかし2017年に、アメリカの調査会社ギャラップ社から衝撃的なレポートが出されました。世界各国の企業を対象に、従業員のワークエンゲージメントを調査したところ、日本は「熱意あふれる社員」の割合がわずか6%で、139カ国中132位と最下位クラスだったのです。そればかりか、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達しました。ちなみに主要国(G20、EU・韓国除く)でワークエンゲージメントが最も高いのは1位:アメリカ(33%)、2位:ブラジル(29%)、3位:ロシア(27%)となっています*。
(*出典:ギャラップ社「States of the Global Workplace(2017)」)

この結果に危機感を抱いた厚生労働省は、日本全体の課題として社員が生き生きと働ける環境づくりを推進することを決め、令和元年度労働経済白書では、『「働きがい」をもって働くことの出来る環境の実現に向けて』として、ワークエンゲージメントと働きがいや離職率、労働生産性、顧客満足度などの関係について報告しています。

快適なオフィス環境は、ワークエンゲージメントを向上させる

さて本題に入りましょう。企業のワークエンゲージメントを向上させるため、弊社ができるお手伝いといえば、やはり快適なオフィス環境を整えることです。ワークエンゲージメントは「●●をすれば絶対に上がる!」ということはもちろん分かっていませんが、一つのヒントとして「仕事の要求度=企業が従業員に求める仕事がどれくらいの負担があるか」と「仕事の資源=企業が従業員の負担をどれだけ軽減(補償)させられるか」のバランスによって、従業員の健康や心の余裕が変化するということが分かっています。(「要求度=補償モデル」と呼ばれています)

図出典:島津明人「職場のメンタルヘルスの新しい流れ:ワーク・エンゲイジメントに注目した個人と組織の活性化」より弊社作成

つまり、従業員が仕事で感じている負担や疲れを回復させてくれる機能がオフィスに備わっていることで、ストレスを軽減させ、ワークエンゲージメントを向上させるのではないでしょうか。
具体的には、職種ごとに以下のような設備をオフィスに設けることをおすすめします。

■製造業:事故の危険なく働ける工場設備と、体を休められる休憩スペースや仮眠設備
■営業職:お客さんとの商談をスムーズにする設備と、1人でリラックスできるスペース
■研究職:集中できるスペースと、集中で疲れた頭を開放できるスペース

ワークエンゲージメント対応オフィスの事例を紹介

次に、ワークエンゲージメントを向上させるヒントとなる、働く空間に工夫を凝らしている企業の実例をご紹介します。

事例紹介1)JINS「Think Lab」

出典元:https://thinklab.jins.com/jp/ja/biz/iidabashi/

大手メガネショップ「JINS」は、“世界一集中できる”といわれるコワーキングスペースを開設しています。植栽に囲まれたセミクローズ空間は一見すると普通のスペースですが、スペースまでの動線や椅子のつくり、部屋の色彩によって集中を促すような作りになっており、ここを訪れた人全員が作業に没頭できるといいます。
そして集中した作業で疲れたら、スペースの一角にあるマッサージルームに行って施術を受けることができます。集中とリラックスを上手にコントロールできている、働く空間の例です。

事例紹介2)清和ビジネス東京本社

次の事例は、弊社の東京本社オフィスです。数年前よりABW(Activity Based Working)という新しいワークスタイルの考え方にもとづき、それぞれの作業に合ったスペースを増築してきました。このオフィスになってから、社員の作業効率が高まり、パフォーマンスを最大に発揮できるようになったという声を多数聞いています。

※ABWに関する詳しい情報はこちらの記事へ

上記の2例に限らず、ここ数年大手オフィス家具メーカーをはじめ、ワークエンゲージメントを高めるオフィスに関する研究が進んでいます。いずれのメーカーも主張しているのが、「従業員が自分で働き方を選べると、ワークエンゲージメントが上がる」という見解。
作業に合わせて働く場所を変えたり、疲れた時に思いきりリフレッシュできるカフェスペースがあったりすると、従業員がのびのびと働くことができるというのです。オフィス内で自由に使えるワークスペースが「3種類以下」だとワークエンゲージメントは上がらず、「5種類以上」用意することで上がる、というデータもあるほどです。

これは、従来の固定デスクを中心としたワークスタイルとは大きく異なります。会社から働く場所を押し付けられるのではなく、“自分で選べる”という能動的な姿勢が、仕事へのやる気を引き出してくれるのでしょう。
私自身は、整備されたオフィス環境があるのはもちろんのこと、仕事に対して正当な評価をしていただくことで、自分のワークエンゲージメントが上がると感じています。オフィス=外的要因だけでなく、正当な評価=内的要因もあった上ではじめて、やる気が出てくるのです。内的要因は十分に整っているのに、社員のワークエンゲージメントが低いとお悩みの場合は、ぜひ弊社にご相談ください。全力で、“やる気を引き出すオフィスづくり”のお手伝いをさせていただきます。

働き方デザイン部 働き方研究室/S・W