働き方改革 在宅勤務への第一歩(在宅勤務備忘録・続編その3)

POINT
  • 在宅勤務を「実施するつもりがなく、実施しなかった」
  • 本当に無理?リモート会議

在宅勤務を「実施するつもりがなく、実施しなかった」

前回、在宅勤務を取り巻く環境とその評価について考えてみました。しかし在宅勤務の行く末をどれだけ眺めてみたって、ゴールテープが近づいてくるわけではありません。私たちはどこまで行けるかを考えるより先に、まずその第一歩をどう踏み出せばよいのかを考える必要があります。さあ、視点をより現実的なレベルにまで落として在宅勤務を見つめてみましょう、すると案外、手近なところに取り掛かりがあったりするものです。

総務省 令和2年 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd123210.html

総務省の調査によれば、感染症対策としての在宅勤務を「実施のつもりがなく、実施しなかった」が全体の7割を占めています。あなたも恐らくこの7割に含まれていることでしょうが(そういう設定です。どうぞお付き合いください)、ではこの7割のうち、本当に「やれない」企業はいったいどれくらいあるのでしょう。

厚生労働省 第4回「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」2020年11月速報版
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14849.html

厚生労働省の調査によると、テレワークを導入していない理由は「できる業務が限られているから」がぶっちぎりの第一位、6割以上を占めます。これは容易に想像できますね。それまでオフィス中心の業務構築をしていたのに、突然どこでも働けるようにするのは難しいですから。でも…オフィスでしかできない業種って、本当に6割もあるのでしょうか?「うちの仕事、オフィスじゃないとできないからねえ~」という管理職の後ろで、目を伏せている社員はいませんか?つまり、お金とか業種とか、そういう理由ではなくて、文字通り「やろうとしなかった」企業がこの中には紛れてはいないでしょうか?

総務省 平成30年版 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144320.html

コロナ直前、「働き方改革に取り組むつもりはない」と答えた企業は7割近くいました。7割!働き方改革で”すら”、7割なのです。いわんや、在宅勤務をや…つまり私はこう言いたいのです。一番の原因は「意識」なのではないかと。より簡単に言いましょう。やる気です。ガッツです。やろうという気持ちが足りないのです。
リモートワークの導入には様々な弊害があることを知りながら、なおも「一番の原因は意識である」というのは、単なる根性論に思われることでしょうが、しかし私の言いたいことは「元気があれば何でもできる」というようなことではなくて、むしろ「夢なき者に成功なし」、つまり「やる気がなくては何もうまくいきませんよ、そこから始めませんか」ということなのです。あるいは、こう言い換えましょう。やたら在宅在宅、とはいいますが、オフィスに配られたカードは、本当にそれだけでしょうか。そんな切り札を切らずとも、よーく見たら、ほかにももっと手ごろな手札があったり…例えば、みなさま。毎日の仕事の打ち合わせ、それリモートでできませんか?

そう。オフィスにできることは在宅のみにあらず。リモート会議も重要な一手です。そもそも、いくらアクリル板やマスクを用意したって、会議室に大の大人が三人も四人も密集していては意味がない、ですよね。だったらリモートにすればいい。面と向かって会わないのだから完全にリスクゼロにできるはずです。まずは社内の小さな会議を少しずつリモートにしてみて、次に社外の会議にもチャレンジしてみて、それらがうまくいったなら、在宅勤務に踏み切ってみる、いわば在宅勤務の準備運動。そうして、まずはできることからひとつずつやってみる。私、とんでもない無茶を言っているつもりは、ありませんよ。

本当に無理?リモート会議

おそらく、日本のオフィスで行われている会議の多くは、リモートで済むはずです。逆にこう考えてみてください、リモート不可能な会議ってどんな会議でしょう?例えば、何か物を手に取り議論する会議。私たちインテリアデザイナーなら実際のサンプルを並べて肌触りや色味を確認するときなんかは、さすがに対面でないと難しく…いやちょっと待ってください。それだって人数分のサンプルを用意すれば済む話。各自が手元にサンプルを持ってリモート会議をすればいいじゃないか。もしも気軽に用意できないサンプル…大きな模型だとか、世界にひとつしかない試作品だとか、そういった場合には対面でないと難しいかもしれませんね。しかし、そんな会議がどれだけあるのでしょう?大きな建築模型で仕事を進める設計事務所でさえ、全ての会議に模型が準備されるわけではありません。

資料やホワイトボードに書き込んで議論したいときは?ひとつの紙にみんなの意見をペンで書く会議は、リモートじゃ難しいかも。いやいや、画面共有にペンツールでグリグリ書き込めばいいじゃないですか。どうしても手書きがいい?iPadやタッチパッドで描くのはどうです?下手すると、リアルなペンで書くより表現力が上がるかもしれません。弊社ではパワーポイントを画面共有して、図形ツールで書き込む人もいます。意外と使いやすく、会議終わってそのまま共有できるのが非常に便利です。特に、なに書いてるのか分からない”あの”悪筆家との打ち合わせでは重宝しますよ。

うちの業務は絶対にオフィスじゃないとできない、もちろん、そういう会社さんも山ほどありましょう。しかし、業務の内容と会議の内容はまた別のはずです。私たちには色んな業種のお客様がいますが、どんな仕事であっても会議の「内容」はほぼ同じ。それは議論です。必要なツールも大体決まっています。机と椅子。ときどきモニター。あなたがよっぽど特殊な会議マニアでない限り、どこかにリモート会議の余地はあるはずです。さあ!今すぐすべての会議をリモートにしましょう!…と、いうのはあくまで理屈上の話。いくら頭では理解できても、簡単に体は動きませんよね。

それに会議は自分一人の問題ではなく、参加者全員を口説く必要があります。「同じオフィスにいる者同士、なんでリモートでやんなきゃいけないのよ」と考えてしまうのが、ああ人というもの。どうして私たちはこれほどまでに対面の会議にこだわってしまう、あるいはリモート会議を疎かにしてしまうのでしょうか。次回は、そんなリモート会議に対する「あらぬ疑い」を、共に弁護していきましょう。

WPD/S・O