働き方改革 いま、在宅勤務をするという意味(在宅勤務備忘録・続編その2)

POINT
  • コロナ在宅、伸るか反るか?
  • いま、在宅勤務をするという意味
  • アフターコロナ、信じるか信じないかはあなた次第、では逃げられない

コロナ在宅、伸るか反るか?

コロナウイルスが世界中で猛威を振るい続ける昨今。誰もが待ち望んだワクチンがいよいよ完成という矢先に変異株が現れ、世界は今でも厳しい戦いを強いられています。そうして対コロナ戦の長期化が明らかになるにつれ、在宅勤務に対する評価もまた変わりつつあるようです。一年前は「うちにも在宅できるかな?」なんて言っていたはずが、今では「在宅はよせんかい!」と色んな界隈から鞭を打たれる始末。なんと世知辛い…というのも、在宅はしようと思ってすぐできるものではありませんもの。このあたりの大変さは一年前のコラムを読んでいただければ、よ~く分かるかと思います。全9回、一言でまとめるなら…「在宅も結構大変」、これです。

しかし…誰も彼もそも人も、そうは言ってられません。なんたって相手は感染症。賭するものは人命です。この任務に背くことのできる覚悟が、果たしてあなたにあるでしょうか?…と、問い詰めれば、誰だってやれるもんならやってるわい、と。そう、誰だってやれるならやりたい。リモートで交通費支給もオフィス賃料も社員のストレスも減り、さらには業績も上がってグローバル展開もできて、それでいて感染症対策もばっちり…やりたくないわけがない。でも現実はそうはいかない。それが在宅勤務。ふふ、うちは在宅勤務ちゃんと導入してるよ、という会社さんも、それって本当に機能していますか?3割出社達成できていますか?とまで聞かれると、幾人かは顔を背けたりする。いやいや、何も意地悪を言っているんじゃないんです。それも無理はないですよね。これこそが今の在宅勤務の評価だと、私は考えます。すなわち、やりたいけどやれないというジレンマ、不安、数々の課題…

そもそも、それまでずっとメガロポリスで仕事させておきながら、令和になって急に「じゃあ家でやってくれ」なんてのは、ちょっと虫のいい話。でも連日紙面をにぎわせるのは陽性者が何人、病床数があといくつ、飲食店が閉まって、みんな大変な思いをしているのです。そこでオフィスだけが「やってられるかってんだ」と江戸っ子ぶるのは、それも都合が悪いでしょう。さらに言えば、オフィスというのはただでさえ大目に見てもらっている存在であるということを、多少は自覚すべきかもしれません。

いま、在宅勤務をするという意味

現代の会社員にとって、オフィスはまさに「第一のホーム」です。なぜ第二じゃないのかって?だって自宅よりも過ごす時間が圧倒的に多いですから。その証拠に、このごろ日本ではホームオフィスなんて呼ばれるインテリアが大ブーム。私たちも「温かい木目のカフェ風でお願いします」というご依頼をたくさんいただきました。誰もおうちじゃリラックスしたいですからね。そんな「第一のホーム」は当然、バラバラに住む人が密集、密接、密閉される空間です。にもかかわらず、人々はオフィスへの出社を許可されており、3割出社を守らなくても罰則はありません。これは間違いなく、オフィスを封じれば日本の経済が傾くからに他ならないでしょう。それほど、オフィスというのは日本の労働を支える礎であると認識されているのです。だからといって、いやむしろだからこそと言うべきか、オフィスが感染拡大防止に協力しないわけにはいきません。お金も時間も労力もかかりますが、社員のみなさん、ひいては日本経済を守るために、あまねく企業にはその責任がある…その責任の度合いが、一年前よりさらに深刻になったこのコロナ禍によって、変わってきていると言えます。
それに、今の状況は、国中から「在宅をやりなさい」と強く要請される、半強制のコロナ用在宅勤務です。つまり、いつかコロナが去り、普段通りの生活に戻ったとき、果たして人々の働き方もまた「普段通り」になるのだろうか?という問題にも、目を向ける必要があるでしょう。現在、いろんな研究者たちがこの問題、すなわちアフターコロナの働き方について議論しており、私たちも必死にその動向を追っている最中ですが、現在のところ「アフターコロナには、リモートワークとオフィスワークが両立される働き方になるだろう」という見方が強いです。しかも日本に限った話ではなく、グローバル規模で。

これはあくまで私の持論ですが、きっとその時代では「在宅勤務」とか「テレワーク」といった言葉の使い分けは、あまり意味をなさなくなるでしょう。ああそうですね、「在宅ワーク」という言葉もあります。ええ、「遠隔勤務」というのもありますね。えっ、「情報通信技術を利用した事業場外勤務」?とにかく、その時代では「オフィスで働くか否か」のみが問われ、オフィスの外なら、家だろうがカフェだろうがどこでも変わらない、そんな働き方になるのではないかと、私は思います。今でこそ私たちは家にこもって働くことを求められていますが、コロナ克服の暁には、別に公園で仕事したって、構わないですよね?既に、移動の合間や都合を見て、シェアオフィスやカフェで自由に働くワーカーは多くいます。それをわざわざ「今日は、午前は在宅ワークで、14時からカフェワークで、16時からはシェアオフィスワークで…」なんて言ったりするでしょうか?つまり、その時代においてはリモートワークがもう当たり前すぎて、わざわざ細分化されることがありません。ほんの数年前、まさに働き方改革が推進してきたものこそ、この「時間と場所からの解放」でした。別の言い方をすれば、このコロナ禍によって、日本中の働き方改革にエンジンがかかり、コロナが去ったあとにはその歩みが進む可能性がある、というわけです。

アフターコロナ、信じるか信じないかはあなた次第、では逃げられない

そう考えると、このコロナ期は「強制リモートお試し期間」とも捉えることができます。コロナが落ち着くのが何年後かは分かりませんが、その時には新しい社会の時代が来る…新しい会社、新しい事業、新しい人材。それに対応できる新しい働き方。そのスタートラインが、今まさに引かれていると考えてみてください。合図に合わせてスタートするかどうかは会社の自由ですが、発破をかける国の動きもあって、スタートする企業が多い、ということは知っておくべきです。それに、お客様から「御社の商品に興味があるので、明日Teams会議できませんか?」なんて言われたときに「すいません、弊社リモート環境がなくて…」なんて答えるのは、つらいものがありますね。

とここで、本当にアフターコロナには新しい働き方が来るのか?と疑い深いあなた。それも当然のことです。未来のことは誰にも分かりません。私たちの思い描く世界には、往々にしてひとつまみの夢と理想が入っており、やってきた現実は意外と地味だったりするものです。思い返すのは、空飛ぶ車、家事ロボット、宇宙旅行…ですが、まずは私がオフィス屋であることを思い出していただきたい。そのオフィス屋が「コロナの後はリモートワークが主流になる!」なんて大声で言うのは、ちょっと変でしょう。私がここで「数年後には元通りのオフィスワークに戻る!」とオフィス擁護に回るのは簡単です。しかしコロナ以前からオフィス縮小の波はあったこと、コロナ収束後もリモートを続けたい人が6割を超えること、情報テクノロジーが進歩し続けていること、などなど。リモートワークの未来を裏付ける証拠には、枚挙にいとまがありません。

ですが、残念ながら、リモートワークをやるべき理由をいくら並べたところで、実現に近づくわけではありません。ここで諦めては、現実知らずの理想論者で終わってしまいます。私たちはより現実的な視点で、喫緊の在宅勤務を考えなくてはなりません。では実際のところ、どうして実現できないのでしょうか?もちろん色々と原因はあると思います。お金、時間、仕事量…ところが、私は別のところに原因があるのではないかと考えています。次回はそんな「なぜできないのか?」について、少し考えてみましょう。

WPD/S・O