働き方改革 まずはおさらい、在宅勤務(在宅勤務備忘録・続編その1)

POINT
  • はじめに
  • おさらい在宅勤務
  • 「しかできない」より「もできる」

はじめに

私が在宅勤務の備忘録を書いてから、早いもので一年が経とうとしています。2021年の新年ムードもそこそこに、コロナウイルスの脅威は依然として世界中を覆い続け、たくさんの方が大変な思いをされました。人間、喉元過ぎれば熱さを忘れるといいますが、一年前の緊急事態宣言下、私がちょうどコラムを書いていたころの、あの慌ただしさを思い返すことはありません。そんな暇もなく、働き方の模索は今でも続いているといったところでしょう。

さて、在宅勤務という働き方が、それがビジネスの中核を担う要素であるにも関わらず、ビジネスとはかけ離れた方面で議論されていることに、近ごろ私は幾分かの不思議を覚えます。本来、どう働くべきかという問いはビジネスに直結することですから、その解答もまたビジネスが指揮を執るべきトピックのはずです。指揮を執るとは、すなわち合理性と経済性に照らし合わせて、それが「儲かるかどうか」を考えるということ。ところが今回の在宅勤務は、安全とか感染症対策とか、「儲かるか」にはあまり関係のない公衆衛生の方面で激しく議論されている…もしもこれを、「儲かるか」の視点に立ってビジネス自身がリードしていたとすれば、きっと企業の「嫌々ムード」はここまで漂っていなかったことでしょう。えっ、嫌々じゃなくて渋々?それをいうなら、ブツクサ…まあなんにせよ、在宅勤務、あるいはリモートワークというのは、本来ビジネス側から検討されるべき問題であったということです。そしてその答えはとっくの昔に出ています。「ビジネス上も大いに有用である」と。そもそも在宅勤務とは働き方改革の延長線上に位置するものだったはずですから、それも当然のことです。ですが、このコロナ禍で経済には余裕がなくなってしまい、働き方改革の理念は全く失われてしまったかのようにも思えます。

おさらい 在宅勤務

コロナが流行る前だったかと思いますが、「雨が降ろうが槍が降ろうが、足でお客に会いに行く、それが営業だ!」とOLDな営業社員が説くというCMがありました。実際に槍が降っては会いに行けないのですが、リモートならそれが可能です。これはビジネス上、かなりの利点でしょう。言うなれば出張のないビジネス。全てがPCモニター越しに済んでしまうビジネス。あなたが新幹線に乗って北海道に向かっているあいだ、やっぱり北海道といったら駅弁だよなあなんて考えているあいだに、ライバルは商談をひとつ済ませているかもしれない。もちろん、リモートですべての営業活動がやれるのかという問題はあるけれど、じゃあすべて足でやるのかいと言われれば、うーんと首をかしげる価値はあるようです。

あるいは災害。2018年には今年の漢字が「災」になるほど、近年、地球温暖化の影響による災害が、深刻になりつつあります。いくら外せない仕事があるからといって、電車が止まったり、道路が水没した状況で、社員を出社させようとするのは言語道断です。ところがリモートワークなら、自宅にいながら安全に仕事を動かすことができます。社員の安否確認もより簡単に行えることでしょう。これもビジネス上の利点のひとつです。

在宅勤務なら通勤要らず、という利点もあります。通勤がなくなることでワーカーのストレスが解消され、生活のクオリティも上昇し、特にお子さんがいらっしゃる家庭ではその恩恵も大きいことでしょう。企業にとっては交通費を支給する必要がなくなる、というメリットもあるはずです。とある企業では、都心のオフィスを縮小し、郊外にたくさんサテライトオフィスを作った際、赤字になるかと思いきや、浮いた交通費と賃料でダメージはなかったのだとか。その話を聞いたとき、ちょっとうらやましく思ったものです。

「しかできない」より「もできる」

こうして、リモートワークは衛生とビジネスと、ふたつの方面から「いいね!」を獲得しました。いやそれだけではありません。緊急事態宣言下、不要不急の外出自粛を求められる都市部では「土日は家にこもらせておいて、月曜から満員電車で通勤しろって…なんかおかしくない?」という声が少なくありません。私も通勤電車の中「リモートワークにご協力を~」と流れる車内放送を、一体みんなどういう顔で聞いているのだろう?とついつい周りを見てしまいます(ちなみに、みんな「俺に言うなよ」っていう顔で聞いています)。その意味で、社員を連日出社させるのは、ひとつのリスク、あるいは負担であるとも言えるでしょう。このように、いまやリモートワークの希求はビジネス・衛生、そしてワーカーの心理という多数の方面から行われ、コロナは日本の働き方に全く新しい風を吹かせているようです。

ええもちろん、「うちは絶対に対面じゃなきゃ取引しないよ!」というお客様がいることは百も承知です。ですが、そうでない会社はどうでしょう?つまり、「リモートでもいいですよ」「いやむしろリモートでお願いします」という会社は?そういった会社は、これから必ず増えます。ええ、必ず。なぜなら先ほど述べたように、いまリモートワークはとんでもない追い風を受けているのですから。リモートはちょっと苦手で…というのも、よくわかるお話なんですが、時代に合わせて会社も変わらなくてはなりません。このタイミングで、リモート”も”できる会社になるというのは、極めて有効な手段であるといえるはずです。

それに…今は在宅勤務を始める絶好の機会だと、私は考えています。えっ、このメチャメチャ大変な時期に?そう、このメチャメチャ大変な時期に、です。なぜなら「いま在宅勤務をするという意味」が、ここ最近ガラリと変わっているからです。次回はそんなことついて、書いてみましょう。

WPD/S・O