働き方改革 働き方が変わる!ABWのすすめ

POINT
  • 新しい働き方のスタイルを生み出す「ABW」とは?
  • 執務+会議・接客+喫煙室が、日本独自のオフィススタイル
  • ABWオフィスのつくり方~弊社を事例に挙げて~

新しい働き方のスタイルを生み出す「ABW」とは?

働く人の視点に立つ取組である「働き方改革」は労働生産性を高める手段としても位置付けられていますが、業績を左右するファクターとして「ワークエンゲージメント」を重要視する企業が国内にも増えつつあります。

ではワークエンゲージメントを高め従業員に活力をもって仕事に取り組んでもらうために企業は何をすればいいのでしょうか。その答えのひとつがABW(Activity Based Working)です。

ABWとは、ワーカーが雇用されている企業のオフィスに限らず、ワーカー個々の事情に応じ、好きな場所を選んで働けるワークスタイルです。
企業には全ての従業員が安心して働けるような制度、ICT環境とともにオフィスなどの物理的な空間の提供が求められています。
ABWの歴史は意外と古く1990年頃にオランダで生まれましたが、日本ではここ2、3年オフィス家具メーカなどがオフィスづくりのコンセプトとして発信しはじめ耳にすることが増えました。
弊社では二年前から東京の本社などで改修を実施しオフィスにABWを順次取り込んでいます。

ABWを提唱したVeldhoen+Company社(オランダ)は、オフィスで働くワーカーの行動を以下の10種類に分類しています。

この10の行動分類は、見方を変えれば、企業がワーカーに求める活動の在り方を示しているといえるでしょう。ワーカーがただ漫然と働くのではなく、自身の行動に意識づけをすることで、業務のアウトプットや生産性に良い影響を与えることが期待できるからです。

実は、Veldhoen+Company社はABWを「戦略やビジョン実現のための改善手法」であるとしていますので、この考察は理にかなっているのではないでしょうか。
また、それぞれの行動にその人数が明示されていますのでオフィスづくりの初期の検討段階において便利なツールでもあります。

執務+会議・接客+喫煙室が、日本独自のオフィススタイル

企業がワーカーに10の行動を意識させ、確実に行動してもらうには、それぞれに相応しい環境を用意することが必要です。もちろん会社の事業内容や拠点の機能によって、必ずしも10の行動全てを満たす必要はありません。まずは自社の部門や拠点ごとに、10の行動のうち何が行われていて、どんなオフィス環境を整えなくてはいけないのかを精査してみましょう。

やや極端な表現をすれば、日本のオフィスは長い間、執務席と会議室と接客スペースで構成され、そしてかつては、そこに喫煙スペースが用意されていました。仕事は執務席で行い、デスクでやりづらい作業は会議室や接客スペースで行う。ちょっとした打合せでも、会議室か接客スペースを占有して行うスタイルが一般的だったのではないでしょうか。

そのような中で、異質なのが喫煙スペースでした。喫煙者のみが利用する場であり、仕事中でも一定時間そこで過ごすことが許されていましたが、ある時期から喫煙所における情報交換やコラボレーション、リフレッシュの効用が認知され始めたのです。これを非喫煙者にも広げる目的で、“マグネットスペース”というコンセプトの下、オフィスの中に新たに人が集まるスペースを意図的に設けるようになりました。
ABWは、このようなオフィスに求められる機能のひとつの集大成ととらえることもできるかもしれません。

また、ワーカー側の視点に立ったオフィスの働きやすさを考慮することも大切です。背が高いのか低いのか、手足は長いのか、声はよく通るのか、どんな環境で集中できるのか、周囲の音に敏感なのか、今日の体調は万全なのか気分が沈んでいないか。体格や体調以外にも、育児や介護をしながら仕事をこなしたい、ケガや病気で通勤が辛い等々…ワーカーの事情はその人その時次第であり、個人がおかれた生活環境や心身状態などによって、仕事を行うベストな環境も変わってくるのです。これに配慮したオフィスが働き方改革やワークエンゲージメントにいい影響を与えることは想像に難くないでしょう。

ABWオフィスのつくり方~弊社を事例に挙げて~

ABWを実践するオフィスづくりにあたって、10の行動に適した環境を設けるためにはそのスペースを確保する必要がありますが、オフィススペースに余裕のない日本において多くの場合、現状のオフィス空間を見直しスペースを捻出することになります。その方法として一般的には以下の4つが有効です。

・書類や物品の量・質と置き場所の適正化
・行動調査に基づく自席の数や、サイズの見直し
・会議手段の見直しに基づく会議室の数や、サイズの適正化
・オフィス外のワークスタイル確立

スペースが確保できたら、10の行動を実現するための環境を配置しますがその典型的なスペースデザインを、弊社の事例を中心にご紹介します。

弊社では設計時に用途を明確に定めてそれぞれのスペースを配置してはいるもののそれを利用ルールとして設定、発信していなかったため、想定外の使い方をされているケースも見受けられます。

ABWの成功には、「この場所では話しかけ禁止」など利用ルールの徹底が欠かせません。空間を設けて終わりではなく、実際に使ってみてからルールを見直したり、リクエストに応じたりと臨機応変に対応していく必要があるでしょう。導入前にトライアルを行い、各スペースがどのような使い方をされるか見定めてから、本設計に入るのも有用です。

そもそものABWはテレワークやシェアオフィスなどでの社外勤務も視野に入れ、「働ける時間に、働ける場所で」という新しい仕事の在り方を提言するものですがオフィスに限定しての導入も可能です。その場合でも物理的環境だけでなくICT環境整備などは不可欠で時間と手間は若干かかるのですが「社内に活気が出る」「生産性が上がる」「人材が集めやすくなり定着率も上がるなど」など、企業とワーカー双方にとってさまざまな恩恵が期待でき「働き方改革」「ワークエンゲージメント」の何れにも寄与する取組です。

ABWは、新たな事業展開や拡大を目指す企業にとって、ダイバーシティ、アジャイルとともに、経営課題を解決するうえで重要なキーワードの一つであることは間違いありません。ご興味を持たれた方は、まず弊社のオフィスツアーにご参加いただき、ABWの実際の姿をご覧いただければ幸いです。日本におけるABWの事例はまだ数少ないので、ぜひその目で弊社の事例をお確かめになり、導入の一助になればと思います。

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働き方デザイン部 働き方研究室/H・S