オフィスレイアウト オフィスの虫めがね・レイアウトと音/視線編

POINT
  • ウィズコロナ/ポストコロナのオフィス像とは
  • 「音」のコントロールは、オフィス作りにおいて非常に重要な要素の1つ
  • 「視線」も、ワーカーのストレス軽減の点では、「音」と同じくらい重要な要素
  • 感染を防ぐためのレイアウト変更で、「音」「視線」もコントロール

2020年3月から始まった緊急事態宣言の解除後、オフィスにも人が戻りつつあります。しかし、ニュースでもたびたび取り上げられているとおり、今後のオフィスは「新しい生活様式」に対応していく必要があります。弊社も、ウィズコロナ/ポストコロナのオフィス作りに関して、日々お客様からお問い合わせを受けております。ウィズコロナ/ポストコロナのオフィス像はまだまだ検討されはじめたばかりですし、私たちも手探りな部分はありますが、確実に大きく変化するのはオフィス全体のレイアウトでしょう。

席と席の間隔を空ける、対面で座ることを避ける、あるいはパーテーション・ビニールシートを挟む、近い距離で話すことを避ける、人と人のすれ違いを無くす…今までの、人と人の接触を増やし、距離を縮めるオフィスとは正反対のスタンスです。そのようなレイアウトになっても、オフィスは会議・打合せ場所としての機能や、快適に仕事を行う場所としての機能を保たなければなりません。前例のない、とても難しい問題です。

解決のヒントは、きっと今までのオフィスの中にあります。私たちが使い続けていたオフィスがなぜ快適だったのか、逆になぜ問題が起きていたのかを知ることで、今後の新しいオフィスを従業員の方々にとって価値のあるものに出来ることでしょう。今回の記事では、「過去に学ぶ」ということで、これまでのオフィスのレイアウトと音・視線の関係をご紹介します。

「音」は、古くからオフィスワーカーを悩ませてきた因縁の相手です。現在の主流であるオープンオフィスでは、遮るものがない場合、音の発生源からなんと10~20mも離れないと集中しやすい・作業しやすいと感じられない、という研究もあります。外を走る車の音、人の足音、話し声、電話の着信音、OA機器の音、PCのタイプ音…オフィスの中で鳴り響く音を上げればキリがありません。このように「音」は、そこで働いている人の集中力やモチベーションに直接影響します。そんな集中できない環境でずっと働き続けなければならなかったら……極端に言ってしまえば、「うるさくて仕事にならない!」と従業員が会社を辞める理由の一つになってしまうかもしれません。

そのため、オフィスにおける「音」のコントロールは、オフィス作りにおいて非常に重要な要素の1つとなります。吸音パネルや最近メジャーになってきたサウンドマスキング機器を頭に浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、「音」のコントロールで重要なのは、各種作業空間のレイアウトです。一番わかりやすいものだと、OAコーナーを1つにまとめ、座席から少し離れたところに置く、というものが例にあげられます。他にも、メインの座席が最も静かになるように、窓側に近づくにつれて打合せや会話スペースを増やす、逆にメインの座席から離れたところに集中用のスペース・個室を作るなど、設計者は、働く人が作業しやすい音環境を作るために工夫しています。特に集中スペースや個室については、ABWや最近のビデオ会議の増加の観点からも必要性が高まってきています。打合せを行うときには、周りの人が見えない方が会話へ集中できるという研究もあり、その点でも普段の座席から仕切られた空間は重要と言えるでしょう。

一方、「視線」について、「音」ほどオフィスレイアウト上で意識されてきませんでしたが、実はワーカーのストレス軽減の点では、音と同じくらい重要な要素です。なぜならば、職場でのストレス原因を調べた研究によれば、音だけではなく周囲からの視線もストレスの原因だからです。従業員にとってストレスの少ないオフィス設計には、視線のコントロールも必要なことが分かります。この点でも、パーテーションで空間を仕切ることは重要です。

奇遇なことに、感染症対策においてもパーテーションを設置したり、デスクの間隔を空けるなどをしたオフィス作りの重要性が高まっています。ただ感染を防ぐためのレイアウト変更だけではなく、「音」と「視線」もコントロールして、過ごしやすいオフィスを作ることも一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

働き方デザイン部 働き方研究室/S・W