オフィス家具 オフィスの机の高さ

POINT
  • 日本のオフィス机の高さ
  • オフィス机の適切な高さ
  • オフィスチェアの適切な高さ
  • 上下昇降デスク

日本のオフィス机の高さ

今回は一つ、オフィス家具の抱えたジレンマについてお話いたしましょう。この記事を読んでくださっているあなた、「日本中の机の高さはすべて同じ」ってご存じでしたか?正確に言うならば、執務デスクには執務デスクの机の高さ、ダイニングテーブルにはダイニングテーブルの机の高さ、バーカウンターにはバーカウンターの机の高さというものが決まっています。うーん、よく考えたら当然ですね?だって人間にはそれぞれ「使いやすい机の高さ」というものがあるはずです。確かに人によってその高さは上下するだろうけど、日本人が広く平均的に使いやすい机の高さというものはあるはずで、ならばメーカーは特別な事情がない限りそれに倣って設計するだろうよ…と。ところが、「日本中の机の高さ」と「日本人が使いやすい机の高さ」が異なっていたとしたら、どうです?つまり、メーカーがわざわざ「日本人が使いにくい机の高さ」で設計していたとしたら?今あなたが使っているだろうそのデスクも、使いにくい机の高さになっているとしたら?

建築にはかならず、適切な寸法というものが存在します。廊下の幅はいくつがいいのか、ドアノブの高さはいくつか、天井の高さはいくつか。そういったちょうどいい寸法だけを集めた資料すら存在するほどです。もちろん、オフィスデスクにも、適切な寸法は存在します。それが最初に制定されたのは終戦直後、GHQのダグラス・マッカーサーによってでした。日本に事務所を構えたマッカーサーは普段使い慣れている高さ74cmのオフィスデスクを用い、これが日本でも規格として採用されたのです。このデスクサイズは日本中のオフィスに広まりましたが、当時の日本人は今よりも身長が低く、高さ74cmのデスクはあまりにも使いづらいのではないか?ということで、何度かの変遷を経て、新しい机の高さが規格として制定されます。1999年のことでした。これをJIS規格といいます。

オフィス机の適切な高さ

机の適切な高さというのは、使用する人の身長によって左右されます。JIS規格には1号から6号までの、身長に合わせた机の高さが設定されています。ところがオフィスデスクの高さは基本的にひとつ、72cmです。これはJIS規格で言えば5.5号ちょい下、身長が165cmぐらいの人にちょうど良い高さとされています。でも実際のオフィスにはそれより高い人も低い人もたくさんいるはずです。まあそれでも日本人の平均身長に近しいならそれで…いやいやちょっと待ってください。20代-50代の男性平均身長は171cm、女性平均身長は157cmです。どちらにとっても微妙に合わないような?男女を合わせた平均は164cmと確かにばっちりですが、なんだかピンとこない感じ。仮に平均的な男性ひとり平均的な女性ひとりの二人だけのオフィスだとしても、男性には少し低く、女性には少し高い、そんな数値なのです。いや、そもそも160cmの人には机高さ72cmという数値自体、正しいのでしょうか?

実はこの72cmという数字、現代人には「高すぎて、低すぎる」と言われています。その理由のひとつは先ほど述べたように、男女で身長に差があるから。もしも数十年前、まだオフィスに圧倒的に男性が多いころならば男性に合わせるのも一理ありましょうが、今はそうでもありません。靴に男性用と女性用があるように、机も男性用と女性用があればいいのに、そのちょうど中間のサイズ72cmしかないものだから、男性には低すぎて、女性には高すぎる…というわけです。そして72cmが「高すぎて、低すぎる」理由がもうひとつ、それが作業内容です。

さあ小学生のころを思い出してください。正しい姿勢とはどのような姿勢であると習いましたか?両足を床につけ、両手を机の上に乗せ、背筋を伸ばし、おなかと机の間にはこぶしひとつ分…この姿勢が理想的なフォームであることは、確かに間違いありません、しかしそれは、読み書きの作業において、です。カフェや自宅でPC作業をしたことがある方には、思い当たることだろうと思います。実際にこの姿勢でPC作業を行うと首や肩への負担が非常に大きく、特に首の後ろが凝って仕方がありません。もしも黒板と机で視線が行ったり来たりするならばここまで大変ではないでしょうが、男性のPC作業の場合、視線はずっと手元のPCにあることになります。もう少し机が高ければ、視線も上がり、首への負担も軽減されるのに…そこで人はついつい腰を前に滑らせて、上半身を下げてしまうのです。確かに頭のラインが下がることで目線が上がり(机と平行になり)、首と肩への負担は減ります。ところが今度は腰の後ろで座る形になるため腰に負担がかかります。これでは意味がありません。
女性の場合はどうでしょう。机が高すぎるので、今度は肘が上がった状態になります。これはこれで肩に負担がかかりますね。そうなると人は上半身を前に倒して、肘を机に乗せてしまいがちです。確かに肩は楽になりますが、背中が丸まってしまうので、またも腰に負担がかかることになります。

オフィスチェアの適切な高さ

では椅子が上下に動けばいい、つまり座面で調整すれば、適切な肘の高さになるのではないか?ところがそうもいきません。机高さ72cmに対して適切な椅子の高さは42cmとされています。これは先ほどの正しい姿勢によって、ちょうど足の裏が地面にべったりとつく高さです。これより上げれば足が浮き、下げれば膝が浮きます。ところが、ここにも机と同じ理由で、男女の差、個人の体格の差が生まれます。平均的な足の長さ(身長-座高)は身長と同じく、男性のほうが女性よりも長いので、男性にとって椅子は低すぎ、女性にとっては高すぎるのです。なので、男性はより椅子を高く、女性はより椅子を低く設定することに…うーんそれだと困ります。男性は机が低すぎるので椅子を下げたい…でも平均より足が長いので椅子は上げたい。女性は机が高すぎるので椅子は上げたい…でも平均より足が短いので椅子は下げたい。

ここにオフィス家具のジレンマが生まれます。机と椅子は「男女合わせた平均に」フィットするサイズなので、男女どちらも苦痛を強いられているのです。これはちっとやそっとでは解決しません。机はいま男女の平均にピッタリ食いついていますから、上げても下げても男女どちらかがより苦労します。それに、机と椅子はふたつでひとつ。もしもメーカーが自分の机だけ高さを変えてしまうと、その机は日本中の椅子に適合しない机になってしまいます。規格とはそういうものです。では男女別サイズで机を作る?そんなオフィス、使いづらくて仕方ありません。男性が一人辞めて女性が一人はいれば家具も買い替える羽目になってしまいます。あるいは採用項目に身長を書いたりなんかして…
もちろん実際は平均身長より高い人もいれば低い人もいます。私のより背の高い女性だってたくさんいます。問題は個人それぞれにある体格差に、家具が合わせられないこと。椅子は多少高さを変えられるけれども、机の高さが変えられないので、結局は足か腕のどちらかは犠牲に……
はて、机の高さが変えられない?一体誰がそんなことを?

上下昇降デスク

この問題を解決するたったひとつの方法、それは机の高さを変えることです。それが「上下昇降式デスク」。これは机の高さを電動で自由に変えられる魔法の机。70cmを74cmにするとかそんな生ぬるいものではありません、下は65cmぐらいから、上は1mを超える高さまで、ボタンひとつで行ったり来たり。この上下昇降式デスクならば、単に男女の枠にとどまらず、個人の体格差や好みに合わせた机高さに設定することができます。まさに多様性の現代に打ってつけの品です。そして、まさか高さ1mの机を座って使う人はいないでしょう、高さ1m近い机とは、もちろん立って仕事をすることを想定したものです。これで姿勢を変えていろんな働き方をしたいオフィスを実現することもできます。まさに働き方改革も手助けしてくれるすごいやつなのです。

本当にそんなに机の高さを変えるものなのかね?あなたはそう思われることでしょう。実は弊社はすべてのデスクにこの上下昇降式デスクを採用しています。それには私たちが新しい働き方を目指すという意味もありますが、新しい家具であるこのデスクの実験データを取るという意味もあります。しばらく使ってみて分かったのは、規格の72cmよりも、男性はより高く、女性はより低く設定して使っているということ。まさに先ほどの男女の身長差の話、その通りではありませんか。72cmという数字、男性にとっては低すぎて、女性にとっては高すぎるのです。実際わたしも机高さは81cmにして使っていることが多いです。

さて、この上下昇降式デスクを導入して分かったことはそれだけではありません。実はもうひとつ、とんでもない効果があります。それは、一度81cmの机の高さに慣れてしまうと、いまさら72cmでは仕事ができないということ。如何に72cmが自分にとって低すぎるかを知ってしまうと、もうそこに戻ることはできません。これは一種の人材確保効果であると言っても良いでしょう。もしもインターンで招かれたところにこのデスクがあったら?ほかのオフィスでの仕事が苦痛に感じるに違いありません。それほどに机の高さというのは首・肩・腰に影響を与えます。以前とある案件でこちらの上下昇降式デスクをご提案しました。実際に弊社で上下昇降式デスクを体験された担当者様は、これをいたく気に入り、採用に踏み切ってくれたのですが、体験していない社員からは「普通の机で十分だろ!」と反対の声が。ところが実際納品してからというもの、社長から社員まで全員が「これにしてよかった!」と大満足してくださりました。

デスクの高さというのは日本全国ほとんど同じものです。だからでしょうか、どうしても「机の高さが合っていない」という話をされても実感がわかないものです。だってそれしか使ったことないのですから。ぜひとも一度、あなたに合った机の高さというものを体験してみてください。首肩腰の負担の違いとその使い心地に驚くはずです。弊社までご連絡いただければ、ショールームへとご案内いたします。できれば男女混合で、大人数でお越しください。その時みなさんで設定される高さがどれも72cmでないことは、間違いありません。そして、快適な労働環境、働き方というのは、机をたったひとつ入れ替えるだけで簡単に実現できるんだということを、ぜひ知っていただければと思います。

WPD/S・O